2014年3月25日
だいぶ前のことになるが、知人が「友人と2人でモンゴルに旅行に行きたい」ということで私に相談してきた。「友人(女性)はモンゴルに行くのはよいが、トイレが気になっており、モンゴルのトイレ事情を教えてもらいたい」とのこと。早速、モンゴルのトイレ事情を説明したのだが、この機会に、皆様にもご紹介したい。
これは、プロジェクト・オフィスのあるビル(ウランバートル市内)のトイレである。水を流すボタンは配管に直接つながっており、便座も不安定である。照明も暗い。しかし、私に言わせれば、このトイレはかなり状態がよい。一応、清潔である。水洗で、便座もある。また、このトイレは男女が別の部屋になっている。モンゴルでは男女共用の個室や、個室は男女で別れているが同じ部屋にあるというトイレも多い。尿が撒き散らされていたり便器に糞がこびりついたりもしていない。清潔に保たれているのは、ビルの清掃担当者が毎日何度も掃除してくれているからである。ウランバートルには新しい建物や古くてもよく整備された建物が多くトイレで不自由せずに過ごすことは十分可能である。
スフバータル県のホテルのトイレ。このすぐ右手にシャワーがあり全体的に汚い。水も流れにくい。
ゴビアルタイ県のホテルのトイレ。このホテルには時間制の共同シャワーしかないがトイレは部屋にある。シャワールームと別になっているのでトイレだけを見れば、清潔感がある。
南ゴビ県のホテルのトイレ。ゴビアルタイ県とは逆に何が何でもシャワーを付けるという発想かと思う。トイレはシャワーの水で流した。水が出るだけましという状態である。
私はモンゴルの全県を訪れたのだが、地方の主要なホテルでもトイレ事情はあまりよくない。上の写真はそのごく一部であるが、地方のそれなりのホテルであっても、シャワールームやトイレに清潔感があるところは少ない。シャワーがないのも普通だし、日本円で5000円以上支払ったホテルで部屋の鍵が閉まらないし湯どころか水すら出ないというのも体験した(トイレは共同トイレだった)。旅程を重ねるうちにトイレやシャワーが機能していればそれだけで最低限は納得という感じになってくる。
ウランバートルや県庁所在地以外の郊外のトイレ事情はどうだろうか。まず、郊外の村でよくみられるのがこのタイプのトイレだ。一応公衆トイレであり村の中などでよく見かける。周辺を木材で囲っていて、内部は土を2メートルくらい掘り抜き、掘った穴の間に板を渡している。当然排泄物はそのまま滞留するので、臭いやハエがつきものである。このあたりになると、抵抗を感じる人も多いと思われる。
これはドアが外れてしまっている。
内部。ついつい穴の底を見てしまう。
私は郊外を車で走っていてトイレに行きたくなったら、適当なところで車を止めてもらい、近くの草原の影でトイレをする。モンゴルの男女も同じようにする。これは広大な草原では決まった間隔でトイレ(3のようなもの)があるわけではないので、仕方のないことだ。また、私個人の感覚では、トイレ(3のようなもの)よりは草原のほうがよほど爽快だ。実際、モンゴルの草原は羊や牛や馬や山羊の糞があちこちにあるので多少の人間の糞尿が付け加わっても大勢に影響はない。
先日、日本のテレビ番組で、モンゴルの遊牧民が紙のかわりに石で尻を拭いているのを見た。面白いのだがモンゴル人もこれを見て爆笑しており少なくとも都会の人には紙を使う文化は定着している。手近に紙がなかったら石を使うこともあるかもしれないがそれは日本人も同じである。もっとも、第二次世界大戦当時、日本人スパイがモンゴルの遊牧民は紙を使わないことから、日本人だとばれないように乾燥した馬の糞を紙の代用品にしたという話もある。こういう番組を見たらモンゴルのトイレ事情が気になるのも仕方ないことだろう。
さて、冒頭の「知人の友人」氏に私が体験したトイレ事情を説明したら、「旅行は取りやめます」とのことであった。
JICA専門家 岡 英男
出典:JICA調停制度強化プロジェクトフェーズ2「プロジェクトニュース」2013年4月1日
