【事例】贈収賄(1)
弊社が、モンゴルの公務員を接待する際に遵守しなければならないルール・基準はありますか。
【アドバイス】
モンゴルで公務員接待する際に遵守しなければならないのは、「賄賂に関する法律」、「公務員法」、「公務における公益と私的利益を規制して利益相反を予防することに関する法律」、「公務員の倫理規定」です。具体的にどのような接待が規制されているかは、それぞれの法律で異なります。例えば、贈り物であれば、公務における公益と私的利益を規制して利益相反を予防することに関する法律第16条1項において、公務員は、公務を実施したことに関して他人から直接的にまたは間接的に贈り物を受け取ることは、禁止されています。
なお、モンゴル法の規制以外に、日本の不正競争防止法は外国公務員等に対する贈賄を禁止する「外国公務員贈賄罪」を規定していて、日本国民であれば国外で行っても適用されます(不正競争防止法18条)ので、これにあたらないように注意が必要です。(2026.6.18)
【事例】贈収賄(2)
弊社がモンゴルで協働している第三国人の公務員に、送別の夕食と贈物を予定しています。モンゴルで活動する第三国の公務員を接待することはモンゴルでの法規制に当てはまりますか。
【アドバイス】
モンゴル法上は、モンゴルで活動する第三国の公務員への接待は、通常、モンゴルの公務員規制の対象とはなりません。第三国の公務員がモンゴルの公務員とみなされる地位にあるといった事実があれば、対象となる可能性も否定できませんが、通常は問題ないでしょう。
ただし、日本の外国公務員贈賄罪については別途検討が必要です。日本の不正競争防止法は外国公務員等に対する贈賄を禁止する「外国公務員贈賄罪」を規定していて、日本国民であれば国外で行っても適用されます(不正競争防止法18条)ので、これにあたらないように注意が必要です。(2026.6.18)
【事例】製造物責任
モンゴルに、製造物責任法はあるのでしょうか。例えば非正規輸入の車両について、製造物責任を負うのは輸入業者、元々の製造業者いずれでしょうか。日本との違いを教えてください。
【アドバイス】
モンゴルには、製造物責任法はありません。もっとも、消費者保護法によって、製造業者だけでなく、供給者や販売者にも責任が認められる場合があります。
消費者保護法では、製造業者に限らず、供給者、販売者についても、製造物の安全性を確保しなかったことにより消費者の健康、財産、環境に生じた損害を賠償する責任を負います(消費者保護法12条6項)。損害が生じた場合には、民法上の不法行為による損害賠償の定めによって解決されます(消費者保護法5条4項)。民法512条には、「製造物、業務サービスの欠陥による損害賠償」として、「質の悪い製造物の製造業者は、被害者と契約上の関係があるか否かに関わらず、当該製造物により生じた損害を賠償する。」と規定されています。
免責事由として、「①製造物を販売目的で製造しなかったこと、②販売目的で製造し引渡した際に当該製造物が他人に損害を与える状況ではなかったことを証拠により証明できたこと、③製造物に欠陥があっても製造し引渡した際に標準、基準に適合していたこと、④製造物を製造し引渡す時における科学、技術の程度によってはその欠陥を認識できなかったこと、⑤製造物の保管または利用基準に違反したことによって損害が生じたことを売主または製造者が証明したこと。」と定められています。
特に海外メーカー製品を輸入販売する事業者は、自ら製造していなくても責任を負う可能性がありますので、品質管理や保険加入についても検討すべきです。(2026.6.18)
【事例】企業運営の問題(株主総会)
会社設立後、一人だけで経営しています。株主総会は毎年開催しなければならないのでしょうか。
【アドバイス】
株主総会は会社の最高意思決定機関です。実際に必要になることは少ないですが、株主が一人だけの会社であっても、法律上又は定款上必要となる事項については、株主としての決定を適切に行い、その内容を記録として残しておくことをお勧めします。複数株主の会社では、利益配当、役員選任、定款変更などの重要事項について株主総会の決議が必要となります。(2026.7.12)
【事例】企業運営の問題(利益配当)
会社に利益が出ました。自由に利益を株主へ分配してもよいのでしょうか。
【アドバイス】
利益配当は、会社法及び定款に従って行う必要があります。会社の財務状況を確認した上で、適切な機関決定を経て配当を実施すべきです。会社資産と個人財産を区別しないまま資金を引き出すことは避けるべきです。(2026.7.12)
【事例】企業運営の問題(取締役会)
有限責任会社でも取締役会を設置しなければならないのでしょうか。
【アドバイス】
一般的に外国投資会社の法人形態として選択されている有限責任会社では、取締役会の設置は必須ではありません。株主数や会社規模に応じて、定款で設置するかどうかを決めることができます。一方、株式公開される株式会社では、取締役会の設置が必要となります。(2026.7.12)
【事例】企業運営の問題(代表者)
会社の代表者は自由に変更できますか。
【アドバイス】
代表者の変更は可能ですが、会社法及び定款に従った手続が必要です。変更後は法人登記の変更手続なども必要となりますので、実際に代表者が交代した場合には速やかに必要な手続を行うべきです。(2026.7.12)
【事例】企業運営の問題(役員の責任)
会社の経営判断により会社へ損害が生じた場合、役員個人が責任を負うことがありますか。
【アドバイス】
あります。会社役員には、会社に対する忠実義務及び善管注意義務が課されています。これらの義務に違反し、会社や株主等に損害を与えた場合には、損害賠償責任を負うことがあります。そのため、重要な経営判断については、十分な資料に基づいて決定し、その経過を記録しておくことが重要です。(2026.7.12)
【事例】企業運営の問題(利益相反取引)
代表者個人が所有する不動産を会社へ売却したいと考えています。このような契約は問題ないでしょうか。
【アドバイス】
利益相反取引に該当する可能性があります。このような取引については、会社法の定める手続を経て承認を受ける必要がある場合があります。手続を怠ると、後日、契約の有効性や役員の責任が問題となることがありますので、事前に確認することをお勧めします。(2026.7.12)
【事例】企業運営の問題(主要取引)
会社の主要な資産を売却したいのですが、代表者だけで決めてもよいのでしょうか。
【アドバイス】
会社資産の一定割合を超える重要な取引については、会社法上の「主要取引」に該当する可能性があります。その場合には、取締役会や株主総会の承認が必要となることがあります。重要な資産の売買を行う前には、法令及び定款を確認することをお勧めします。(2026.7.12)
【事例】企業運営の問題(定款変更)
会社設立時の定款では事業内容が現在の事業と合わなくなりました。定款は変更できますか。
【アドバイス】
変更できます。ただし、会社法及び定款の定めに従った機関決定が必要となります。特に資本金(増資や減資の例が多いです)、事業目的、商号、所在地、役員構成などの定款の内容に関わる重要事項を変更する場合には、法人登記の変更手続も必要となります。(2026.7.12)
【事例】企業運営の問題(事業目的の追加)
新しい事業を始めたいのですが、会社設立時に定めた事業目的に記載がありません。このまま事業を始めてもよいでしょうか。
【アドバイス】
定款の変更が必要になる場合があります。また、許認可が必要な事業では、事前に必要な許可を取得しなければ定款変更ができないことがあります。新規事業を開始する前に専門家に確認することをお勧めします。
【事例】企業運営の問題(株式譲渡)
共同経営者が、自分の株式を第三者へ売却したいと言っています。自由に売却できるのでしょうか。
【アドバイス】
有限責任会社では、会社法や定款により株式譲渡が制限されていることが少なくありません。また、会社法上、他の株主に優先購入権が認められる場合があります。売却前に定款及び株主間契約を確認する必要があります。
【事例】企業運営の問題(株主間の対立)
共同経営者との意見が対立し、会社の重要事項が決められなくなりました。どうすればよいでしょうか。
【アドバイス】
出資割合が拮抗している会社では、このような状況が生じることがあります。そのため、会社設立時に株主間契約を締結し、意見が一致しない場合の解決方法(デッドロック条項)を定めておくことが重要です。設立時に株式の持ち分割合を50:50とするようなことは、この観点からも適切ではありません。設立後に問題が生じると、解決が困難になることがあります。
【事例】企業運営の問題(増資)
会社の資金が不足しているため、追加で出資したいと考えています。どのような手続が必要でしょうか。
【アドバイス】
増資は定款変更が伴いますので、登記手続を要します。また、会社法及び定款に従った決議が必要になります。また、既存株主以外が出資する場合には、株主構成や議決権割合が変わるため、慎重な検討が必要です。
【事例】企業運営の問題(会社名の変更)
会社名を変更したいと考えています。簡単に変更できますか。
【アドバイス】
会社名は変更できますが、会社法上の決議及び法人登記の変更手続が必要です。また、契約先、銀行、税務当局などへの届出も必要となりますので、変更時期については計画的に進めることをお勧めします。
【事例】企業運営の問題(会社印)
会社印を紛失してしまいました。どのように対応すればよいでしょうか。
【アドバイス】
速やかに法人登録局に紛失届を提出し、紛失の広告を行い、新しい会社印の作成許可を得ます。必要に応じて銀行その他の関係機関へ届け出る必要があります。印章の管理が不十分であると、契約や銀行取引に支障が生じることがあります。会社印は一見普通のゴム印ですが、モンゴルでは非常に重要ですので、慎重に保管してください。
【事例】企業運営の問題(休眠)
しばらく事業を行う予定がありません。会社をそのまま放置してもよいでしょうか。
【アドバイス】
会社を設立した以上、事業を行っていない場合でも、法令上必要な届出(税務関係など)や申告が必要です。長期間事業を行わない予定であれば、休眠や清算を含めて今後の対応を検討することをお勧めします。また、実際には、休眠会社と判定された場合、国家登録庁の職権で法人登録が抹消されることもあります。
【事例】企業運営の問題(議事録)
株主総会や役員会の議事録は必ず作成しなければならないのでしょうか。
【アドバイス】
一人株主で自身が代表者であるような場合には、議事録を作成していない場合も多いと思われます。しかし、重要な決議や第三者が関わる問題については、議事録を作成し保存しておくことをお勧めします。後日、会社内部や第三者との間で紛争が生じた場合、議事録は重要な証拠となります。
執筆:弁護士・モンゴル外国弁護士 岡英男
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