相談事例(モンゴルに関するもの)

これまでに、大正法律事務所及びBAYAR AND OKA法律事務所が関わった事案を掲載しています。

守秘義務に配慮し、実際の相談事例を一般化・匿名化して掲載しています。

不動産

【事例】土地の利用方法

 モンゴルで外国投資会社を設立し、工場や倉庫を建設する予定です。土地については、どのような権利を取得できますか。

【アドバイス】

 外国投資会社である御社は、土地使用(利用)権を取得できます。

 モンゴルでは、土地に関する権利は大きく「所有権」「占有権」「使用権」の3種類に分けられます。

① 所有権

 「土地所有」とは、当該土地について処分権を有し法律で許可されている範囲内で自己の支配におくことです。土地を所有できるのはモンゴル国民(自然人)のみであり、外国人や法人は取得できません。所有権は譲渡や相続が可能です。

② 占有権

 「土地占有」とは、契約で定められた目的・要件・条件に従って法律で許可された範囲内で自己の支配におくことです。モンゴル国民及びモンゴル法人が取得できますが、外国投資会社は取得できません。譲渡や相続も可能であり、通常15年から60年までの期間で設定され、更新も可能です(更新期間は1回につき40年以下)。土地利用料の支払が必要です。

③ 使用(利用)権

 「土地使用」とは、法律で許可されている範囲内で土地所有者または占有者と締結した契約に従って土地を有用な性質に基づいて使用することです。外国投資会社は、この土地使用権を取得することになります。土地所有者又は土地占有者との契約及び行政庁の許可により設定されます。土地使用権の期間は、利用目的等に応じて政府が決定します。土地利用料の支払が必要です。

 なお、土地使用権は占有権とは異なり、公共事業等による土地の収用が行われた場合でも、土地法上、占有権者のような補償は予定されていません。また、モンゴル国民又はモンゴル法人が、行政庁の許可なく外国人、外国法人等に土地を使用させた場合には、土地占有権又は使用権が終了することがありますので注意が必要です。(2026.6.18)

 

(イメージ図)

【事例】土地使用期間

 モンゴルで外国投資会社を設立し、土地を利用して工場や倉庫を建設する予定です。土地は何年間利用できますか。

【アドバイス】

 土地利用の期間は、取得する権利の種類によって異なります。

① 所有権

 期間の制限はありません。

② 占有権

 15年から60年までの期間で設定されます。更新も可能であり、1回の更新期間は40年以下です。更新回数について法律上の制限はありません。

③ 使用権

 外国投資会社が取得する土地使用権については、土地法には具体的な期間の定めはありません(2024年4月までは投資法に基づき合計100年まで利用できたが同法改正によりできなくなりました)。土地使用権は、土地所有者又は土地占有者との契約により設定されます。この契約には民法の賃貸借に関する規定が適用されます。民法では契約期間を自由に定めることができますが、10年を超える期間の契約については、10年経過後、相手方に3か月前までに通知すれば、当事者はいずれも契約を終了させることができると定められている点に注意が必要です。そのため、長期使用を予定する場合には、契約上の解除制限、補償、建物・設備の取扱いも明確に定める必要があります。(2026.6.18)

【事例】土地使用権の終了

 外国投資会社として土地使用権を取得した場合、どのような場合に土地使用権は終了しますか。

【アドバイス】

 土地使用権は、主に次の場合に終了します。

① 行政庁による使用許可の取消し

 土地使用許可が取り消された場合には、土地使用権も消滅します。

② 土地所有権又は土地占有権の消滅

 土地使用権は、土地所有権又は土地占有権を前提として設定されます。そのため、土地所有者又は土地占有者が当該権利を失った場合には、それに伴って土地使用権も消滅する場合があります。

③ 土地使用契約の終了

 土地使用契約(土地賃貸借契約)の解除、契約期間の満了その他契約終了事由が生じた場合には、土地使用権も終了します。(2026.6.18)

【事例】土地使用権は取り消されることがありますか

 外国投資会社が取得した土地使用権は、行政庁や土地所有者の判断で突然取り消されることはありますか。

【アドバイス】

 通常は、恣意的に土地使用権が取り消されることはありません。

 もっとも、税法違反や申請書類に重大な問題がある場合には、土地使用権が取り消されることがあります。

 また、土地使用権は土地所有権又は土地占有権を前提とする権利であるため、土地占有権の終了や公共目的による土地収用などが行われた場合には、それに伴って土地使用権も消滅することがあります。

 なお、土地法では、土地所有者や土地占有権者とは異なり、土地使用権者については土地収用等の場合の補償が認められていません。そのため、外国投資会社が事業用地を利用する場合には、この点も考慮して事業計画を立てる必要があります。(2026.6.18)

【事例】土地上の建物はどうなりますか

 土地使用権が終了した場合、工場や倉庫など土地上に建設した建物はどうなりますか。

【アドバイス】

 原則として撤去を求められます。土地使用権が終了した場合には、法律に別段の定めがない限り、土地上の建物その他の工作物についても、その土地を利用する権利を失います。そのため、原則として建物等の撤去又は明渡しを求められることになります。

 この点は土地占有権についても同様であり、土地利用を終了する場合には、事前に土地上の建物等の取扱いについて十分検討しておくことが重要です。(2026.6.18)

【事例】土地に関する権利の譲渡

 モンゴルで取得した土地に関する権利は、第三者に売却・譲渡することができますか。

【アドバイス】

 権利の種類によって異なります。

① 所有権

 譲渡できます。モンゴル国民が有する土地所有権は、売買、交換、贈与、相続などにより移転することができます。

② 占有権

 譲渡できます。ただし、占有権者を変更するためには、土地法に基づく行政庁の許可が必要です。そのため、当事者間の売買契約だけでは占有権は移転せず、所定の名義変更手続を行う必要があります。

③ 使用権

 使用権の譲渡については、土地法に明文の規定はありません。実務上は、土地使用契約上の地位を引き継ぐというよりも、新たな使用者が改めて土地使用許可を取得する方法が採られています。したがって、使用権の譲渡契約を締結したとしても、その契約だけで使用権が移転するわけではありません。譲受人は改めて行政庁の許可を受ける必要があり、許可が得られなければ、譲渡契約どおりの効果が生じない可能性があります。

 このため、外国投資会社が土地使用権を前提とする事業を譲渡する場合には、土地使用権の承継方法について事前に十分検討することが重要です。(2026.6.18)

【事例】土地使用権の保護

 モンゴルで土地使用権の譲渡ができないのであれば、土地使用権者は法律上保護されないということですか。

【アドバイス】

 いいえ。土地使用者は、土地使用期間の延長でその権利が保護されています。

土地法では、「土地法および土地使用契約における義務を適切に履行していた場合、権利証明書の満了時に土地をさらに使用するために権利証明書の期間を延長する。」と定められています。したがって、土地使用権は自由に譲渡できる権利ではありませんが、適法に土地を使用し、契約上及び法律上の義務を履行している限り、期間延長によって継続的な土地利用が図られる制度となっています。この点は、土地使用権者の法的保護として重要な意味を有します。(2026.6.18)

【事例】土地占有権(外資会社の子会社)

 モンゴルで外国投資会社を設立した後、その子会社としてモンゴル法人を設立する予定です。この子会社は土地占有権を取得できますか。

【アドバイス】

 取得できると考えられます。

 モンゴル土地法では、土地占有権はモンゴル国民及びモンゴルの事業体・組織に認められています。一方、外国投資会社については、土地法により土地使用権(利用権)のみが認められており、土地占有権は取得できません。

 しかし、外国投資会社が設立した子会社は、投資法上の「外国投資会社」には該当せず、モンゴル法人として取り扱われています。投資法では、「外国投資会社」は外国投資者が一定割合以上出資した法人と定義されていますが、外国投資会社自体は「国内投資者」に分類されています。そのため、外国投資会社が設立した子会社は、外国投資者ではなく国内投資者が設立した法人となります。したがって、当該子会社は土地法上のモンゴル法人として土地占有権を取得できると解されます。

 実務上も、このようなスキームによる会社設立は多数行われており、法人登録や土地登録において特段問題とされていません。また、2024年にモンゴル国会で外国投資会社制度について議論が行われましたが、このような子会社による土地占有権取得を制限する法改正は行われていません。

 もっとも、この問題について判断したモンゴル最高裁判所の判例は現在のところ確認されておらず、本スキームは、外国資本による土地占有権取得を制限する制度趣旨を潜脱する方法(いわゆる脱法的スキーム)と評価することも可能です。そのため、将来の法改正や行政実務の変更には留意する必要があります。(2026.6.18)

【事例】賃貸物件の立退き

 モンゴルで住宅や店舗を借りています。大家から「出て行ってほしい」と言われることがありますが、どのような場合に退去しなければならないのでしょうか。また、トラブルを防ぐ方法はありますか。

【アドバイス】

 モンゴル民法では、賃貸借契約は、契約期間の満了、期間の定めのない契約の解約、契約又は法律に定める解除事由などにより終了します。

 また、契約期間中であっても、法律上の正当な理由がある場合には契約を終了させることができます。例えば、一方当事者が契約上の義務に違反した場合のほか、住宅については、賃貸人自身又はその近親者が居住する必要が生じた場合には、賃貸人は契約を終了させることができます。また、賃貸人が市場価格に応じた賃料への増額を申し出たにもかかわらず、賃借人がこれを拒否した場合にも契約が終了することがあります。

 一方、このような「賃貸人又は近親者が使用する必要が生じた」という終了事由は住宅について定められたものであり、店舗や事務所など事業用物件については同様の規定はありません。

 実務上、立退きに関する紛争を防ぐためには、契約締結時に契約期間、更新条件、中途解約事由、立退き時の補償の有無などをできる限り明確に定めておくことが重要です。特に、外国企業が店舗や工場を借りる場合には、投資額が大きくなることが多いため、中途解約や原状回復について契約書で十分に取り決めておくことをお勧めします。(2026.6.18)

個人の方のご相談については → モンゴル個人法務Q&A(離婚・相続・刑事事件など)

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